校長室より13 指導のポイントは合っているか

 ずいぶん前に読んだ実践記録のメモが手元にあります(出典は不明です)。
【メモ】
「教師の存在そのものが教育だ」というが、むしろ私の存在が障害になっているのではないか。

 教育に真摯に向き合っているからこその厳しい言葉です。メモには続きがあります。
【メモ】
「学校から得意そうに自転車で校外に出てしまう○○を叱り続けた」
 何回も学校から出てしまう○○を教室に正座させ、私も正座して長時間叱り続けました。「学校から出たら×でしょ」と何度も言い聞かせました。○○は泣いたり怒ったりしながらも、「学校から出たら×」と手で×の合図をしました。しかし、彼が学校から外に出る回数は減らず、正座が繰り返されました。
 しかし、この悲しい関係もなくなる日がきました。学校から外に出られる8箇所の1つ1つの場所で、自転車を内と外に置いて「こっちは○です」「こっちは×です」と確認しあった日を境に、構内で自転車を楽しむようになったからです。
 その後、○○は「学校から出ない子どもは○」と、満面に笑みを浮かべて私にサインを送りながら自転車を楽しんでいました。

 この子どもは「学校から出たら×」は分かっても、学校にいる状況、学校から出た状況そのものが分かっていなかったのです。指導のポイントがずれていたのです。
 繰り返し指導しても効果がない場合、指導のポイントそのものをチェックする必要があります。
 「何回言っても、できない」「何回させても、できない」とすれば、「言っていること」「させていること」じたいが間違っているということです。

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