最新更新日:2024/05/08 | |
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砺波市立出町中学校
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爆走メロス と 走れよメロス no.703ひとつめは東京の学習塾、栄光ゼミナールのサイトで、2016年12月13日から2017年12月12日まで「柳田理科雄のマンガ1日1科学 〜がんばれ!モモンガ先生〜 」という漫画が連載されていたお話です 副題に「昔話の謎と不思議を科学で解決!」とあり、理科教師のサガでこのようなものに惹きつけられるわたしは、今でもたまに見返しています(※リンク先:http://1kagaku.eikoh-seminar.com/category/story16) その中の2017年4月27日の記事に、「走れメロス」が扱われています 太宰 治の「走れメロス」には様々な表現が使われており、声を出して読むとなぜかそのリズムが心地の良い作品です(※そもそも、この話の元ネタは太宰本人のことらしいですが、それについても解説されています) その作品を、科学の視点で読むという内容です 柳田理科雄氏は、物語の文章の中の「少しずつ沈んでいく太陽の、十倍も早く走った」という表現に着目します メロスが友人のために、いや、自分のためにものすごくがんばって走ったことを表現する独特の文章です ただし、理科教師のわたしとしても、とても気になる表現です 「少しずつ沈んでいく太陽」・・・ 太陽が東から西へ動いて見えるのは、地球が西から東へほぼ1日1回の自転をしているからです 「走れメロス」の舞台であるシラクスの町は、イタリアのシチリア島に実在する都市で、北緯約37度ですから、この緯度の地点での地球の自転速度で考えると、地表では時速約1300kmで西から東へ動いていることになります(※赤道上では時速約1700km) 物語にある、この速さの「十倍も速く走った」となると、メロスは時速1万3000km以上で走っているということです 音速は気温によって変化し、気温摂氏15度での音速は秒速340m(=時速1224km)ですから、時速1万3000kmはマッハ11です 一般的なライフルの弾速は、秒速600〜1000m程度で、マッハ2〜3ですから、メロスはライフルの弾丸が飛ぶよりもはるかに速く走っています うーむ、とても興味深い・・・ メロスが走っている周辺では、大気中を音速より速く移動する物体によって発生する衝撃波ソニックブームの影響で、大変なことが起こっていたことでしょう あ!! だから走っている間に衣服が破れ、メロスが処刑場に着いたときはほぼ全裸体だったのですね そして、もうひとつは「走れメロス」に関してのおもしろい研究のお話です それはひとつめの話の4年前に公表されているものであり、塩野直道記念第1回「算数・数学の自由研究」作品コンクール2013年度受賞作品で、中学校の部で最優秀賞・塩野直道賞を受賞した「メロスの全力を検証」です 当時、愛知教育大学附属岡崎中学校2年生だった 村田 一真 さんの研究です ※https://www.rimse.or.jp/research/past/pdf/1st/w... ←ここでダウンロードできます ひとことで言うと、物語の文章からメロスがどのように走ったのかを数値化して計算したものです その結果は、野や森をメロスが進んだ往路前半は時速2.7km 一般的に歩く速さよりも遅い・・・ 山賊と戦かった後、死力を振りしぼって走ったとされるラストスパートも時速5.3km 一般的に歩く速さよりも速いですが、どうなのでしょう・・・ 途中にトラブルがありますから、平均しているからと考えても、あれだけの表現でがんばって走ったように感じさせられたメロスの移動速度は、想像以上に遅く算出されてしまうのです 研究した村田さんの感想の一部を抜粋して紹介します 「いつも気にかけないところには色々な謎があっておもしろいと思いました。そして「走れメロス」というタイトルは「走れよメロス」の方があっているなと思いました。」 着眼点といい、この感想といい、最優秀賞受賞も頷けます 2013年で中学2年生ですから、今は24歳か25歳でしょうか? やはり中学生はおもしろい そして、科学はおもしろい 決して、太宰 治 氏を揶揄しているのではありません その文章表現を含め、好きな作家さんのお一人ですから ※ 村田 一真 さんの研究は印刷して図書室の校長コーナーに置いたので興味ある人は読んでみてください(こちらでダウンロードもできます) |